検査・計測 オンラインエンジニアインタビュー

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ナノオーダーの緻密な製造プロセスから生まれる最先端のメモリ製品。キオクシアの検査・計測エンジニアは、半導体ならではのミクロコスモスを技術の眼で探索して、ものづくりの最適化を支えています。今回は四日市工場で活躍中の3名に、検査・計測業務の実際と働きがい、人と風土や環境について語り合っていただきました。

Profile

第二生産技術部 T.Y
2014年度キャリア入社。大学の工学部材料工学科で、EUV(極端紫外線)についてを基礎研究とする。前職も半導体メーカーで、メモリやロジックの検査関連業務に携わった後、東芝に転職。

第二生産技術部 D.S
2016年度新卒入社。大学院物理工学科で、分光手法による物質中の電子の状態などを観察。半導体との関連はなかったが、検査・計測への興味から入社。

第二生産技術部 B.R
2019年度新卒入社。ロシア生まれで6歳から大学卒業までイスラエルで過ごす。電気工学、なかでもナノエレクトロニクスを主専攻に、半導体の製造プロセスを一通り学ぶ。

※座談会の内容は取材時のものです。(2021年12月取材)

「スキルを活かして先端技術に携わりたい」気持ちは共通。

- 最初に、キオクシアに入社した経緯をお聞かせください。

十数年前に遡りますが、私は大学でEUV光を使ったマスク検査装置を研究していました。当時は最先端の次世代技術で、実用化されて広く使われるところまで自分の目で進化を見届けたいと思い、2008年に前職の外資系半導体メーカーに新卒で就職しました。しかし会社が買収され、汎用素子の受託生産がメインのファウンドリー(半導体チップの生産を専門とする企業)に業態が変わりました。検査業務に携わってはいたものの、最先端技術に関わる機会が減ることになり、2014年に東芝時代の当社に転職しました。当時も現在も、半導体の最先端といえば、我が国では当社が筆頭ですからね。

私は、ここ四日市工場で1ヶ月間のインターンシップを体験したのがきっかけです。半導体製造装置から出力されるデータの解析業務に携わるなかで、若いうちから責任ある仕事を任せてもらえる、何でも自由に発言できる会社だと実感しました。肌で触れた当社の人と風土が、私には何よりの魅力でした。

もともと私には、幼少期から暮らしたイスラエルとは異なる文化やワークスタイルを体験したいという思いがあり、特に日本の文化に興味を持っていました。当社の会社説明会が大学で開かれたのを機に、さまざまな部署の方から業務を紹介してもらい、検査・計測の部門が私の知識・スキルを最も活かせると判断して、入社を決めました。

目に見えないナノの世界を見たり測ったりの難しさと面白さ。

- どのような検査・計測業務を担当しているのですか。

いろいろな検査技術を適用して、チップ内部の欠陥を発見・解析する仕事に従事しています。目に見えないナノレベルの欠陥をどうしたら見つけることができるのか。光学機器やSEMを用いた検査がメインではありますが、実物でのテストが難しい場合はシミュレーションを行って結果をリアルにフィードバックします。生産技術部門の検査・計測部隊ですから、検査してデータを出して終わりではなく、結果をプロセスに展開し、欠陥が発生しないよう最適化を図って生産性向上につなげるフェーズまで、一貫して関わります。

私も同じチームで実務リーダーを務めています。各種の装置による検査実務の取りまとめ、現行機種の問題点の改善や次期機種の開発に関する内外の装置メーカーとの打ち合わせなどが主な業務です。一番のミッションは、検査工程のコストパフォーマンスを最大限に高めて、いかに生産性を上げるか。メジャーなメーカーの検査装置だけだとコストに影響するため、有望なベンチャー企業を見出して、コスパに優れる装置の開発を支援し、セカンドベンダーとして採用する、といった取り組みにも力を入れています。

私は膜厚の計測技術を担当しています。赤外光やX線を利用した計測、質量の測定などの技術を取りまとめるポジションです。他部門から膜厚測定の依頼を受けて、どの計測技術を適用したら最適かを判断して提供する。また測定の精度を高めるにはどうしたらいいか、メーカーと折衝して機能の追加や新機種の開発を図る。大きく分けてこの二つの役割を担っています。3次元フラッシュメモリの多層化が進むなか、立体的な層の深い部分の膜厚を測定したい、ウェハを壊さずにデータを入手したい。といった難しいオーダーが寄せられるので大変ですが、半面、最新の技術を追求し続ける面白さがあると感じています。

入社後の早くから、責任ある仕事を任せてもらえる。

- 今までで最も印象に残っているエピソードを教えてください。

3次元のBiCS FLASH™の内部欠陥をIR(赤外線)を用いて検査する生産性の高い装置を、某企業と共同で開発した案件です。3次元の立体的な構造の内部にIR光を照射し、内部欠陥の有無を見分けるのですが、インライン検査、つまり量産ラインに組み込んで使えるのが最大の特長。製品の製造と並行して検査を行い、結果をリアルタイムでフィードバックできるため、従来の製造後の検査と比べて、大幅な歩留まりの短TAT改善を実現しました。すでに四日市工場で稼働して成果を挙げています。

私は、ある内部欠陥の解析をテーマとするプロジェクトチームに参画したことです。SEMの最新成分分析機能を利用し、欠陥を見つけるだけでなく、どのような欠陥なのかの分析まで行えるようにするもので、確立されていない未知数の技術への挑戦です。メンバーで議論を重ね、試行錯誤を繰り返しながら、数多くの課題を一つずつ解決していきました。ミッションを遂行できて、チームで部長表彰も受賞しました。一口に検査・計測といっても、対象となる欠陥はさまざまで、同じフローの仕事ではありません。毎回、新しい発見があり、新しい知見を得られますし、チームではエンジニア一人一人に責任ある業務が任されるので、最新の検査・計測技術を視野に捉えつつ、主体的に活動していけます。自分の仕事と自分の発言が力を持っていると実感できるのが、大きな魅力です。

同感です。私も現在の部署に異動するまでは5年ほど、VC(Voltage Contrast)検査という工程を専任で手がけていました。SEMを用いて、シリコンウェハ上に形成された半導体チップ内部の電気特性を検査する技法で、ウェハを破壊せずに電気的欠陥などの問題点を把握できます。やはり、まだ手法が確立されておらず、未知の要素も多いなかで検査装置の立ち上げ、検査レシピの作成、新機能の評価などVC検査に関わる一連の業務が、入社して間もない私に託されたのです。半導体の基本からプロセス技術、検査・計測技術まで、広く深く学べる教育研修と、経験豊かな上司・先輩がたのサポートが充実しているからこそ、若手に「とりあえずやってみろ」とチャンスが与えられるわけです。私にはそれが一番印象に残っています。ちなみに、この時に策定したVC検査の機能評価や操作基準は、今では全レシピに展開され、従来の3倍程度の業務効率化を達成しています。

部署内はもちろん、他部署や海外との交流も活発。

- 部署の雰囲気や四日市工場の環境はいかがでしょうか。

検査・計測部門の業務は、装置を触わる必要のある仕事と、取得したデータを解析してドキュメント化するデスクワークに大別されます。コロナ禍の下、前者は出勤して現場で、後者は在宅でそれぞれ業務を進めており、私の場合はほぼ半々の割合で従事しています。社内でのチャットやWeb会議といった環境も充実しているので、他部署や海外とのやりとりを含めて、コミュニケーションは取りやすいですね。リアル(出張)からWebが主流になりましたが、移動時間が減った分、折衝頻度が逆に増えた印象もあります。

私と同じように外国出身のエンジニアも活躍しており、グローバルかつアットホームでフランクな風土だと感じています。今はオンラインと在宅の併用ですが、いずれの形式でも気軽に誰かに相談できる環境が当たり前にあるのが嬉しいですね。また生産技術部では最近、新入社員の提案で若手が自由に参加できるオンライントークルームが開設されました。業務上ではコンタクトすることのないメンバーとも広く交流して情報を得られるので、とても有意義です。

海外メーカーとの協業をはじめ、ボーダーレスな部署で、日常的に国内や海外メーカーとの折衝機会も多くあります。コロナ以前は次世代最新設備のデモンストレーション評価で海外に出向いていましたね。また会社として従業員の心と体の健康を最優先に考えて、福利厚生やワークライフバランスを重視しているので、安心して働き暮らせる環境も整っています。私は三重県外から四日市に引っ越してきましたが、こちらは自然が豊かで公園が多く、子育て支援も充実しているので家族ともどもとても満足しています。名古屋・京都・大阪にも気軽に足を延ばせますし、首都圏への便も良いので、暮らしやすいエリアだと思います。

半導体に興味があれば、バックグラウントは不問。

- これからの目標を教えてください。

様々な計測の技術を究めたいですね。そのうえで、インテグレーションというか、計測技術を広く取りまとめる立場で他部門の依頼者のニーズに応え、常に最適なソリューションを提供できるエンジニアを目標にしています。

短期的には検査の技術・装置・業務に関する経験を積み、多様な知識を身に付けること。そしてそれをベースに、生産性の向上につながる解析と提案のできることを目指しています。

現在の実務リーダーから、検査・計測部門のマネジメントへ。さらに将来はより広い観点から工場のマネジメントを担える存在へ、着実にステップアップしていこうと期しています。

- では最後に、応募を検討されている方へのメッセージをお願いします。

良き仲間たちと、楽しくコミュニケーションしながら成長できる環境です。多くの方の入社をお待ちしています。

私自身がキャリアで入社した経験からお話しすると、検査・計測の知識・経験はなくても問題ありません。半導体に関心がある、半導体に関わる仕事に就きたいという意志があれば、入社してから勉強していけば大丈夫なので、ぜひチャレンジしてほしいと期待しています。

その通りで、どのようなバックグラウンドの方でも受け入れる体制が整っている会社です。教育研修が充実しており、いろいろな分野の有識者がいつも周りにいるので、何でも聞けますし、海外のエキスパートともやりとりができます。先端技術に触れたい、グローバルに活動したいと望んでいる人には、エキサイティングで楽しい環境です。私たちと一緒に、興味の尽きない検査・計測の世界を探究していきましょう。

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