「部内は、多種多様なバックグラウンドを持つ人材の集まり」。
大学での学びや前職も含め、純粋な半導体出身者はほぼいないという
生産技術部について、その業務内容と、
メンバーの活躍やキャリア人材への期待など、部門長2人に話を聞いた。
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Profile
(写真左)山田 桂作(Keisaku Yamada)
第一生産技術部 部長
1989年入社。学生時代は材料工学を専攻し、超電導材料を研究。入社後はプリント基板のプロセスエンジニアとして活躍しその後、四日市工場へ異動。イノベーション推進部長を経て2017年11月より現職。工場のあらゆる業務に関し生産性改善や技術者の業務効率改善など、IEとITを活用し支援する。
(写真右)柴 克育(Katsuiku Shiba)
第三生産技術部 部長
1995年入社。学生時代は材料物性工学を専攻し、形状記憶合金の相変態メカニズムを研究。入社当初は、ウェーハの平坦化加工技術開発を担当。2001年に四日市工場に異動しエンジニアとして活動する中、半導体製造装置の改善活動にも貢献。2021年10月より現職。現在はユニットプロセスと呼ばれる、ウェーハに集積回路を作りこむ技術部隊を取りまとめ、半導体製造の前工程における技術改善や生産性向上に尽力。
- まず、生産技術部のお仕事について、教えてください。
山田
第一生産技術部のミッションは、生産性改善や技術者の業務効率改善など、四日市工場のシステムや仕組みを作ることです。業務ではIE(Industrial Engineering )と呼ばれる生産工学の知識が求められます。人や資源、そしてエネルギーやコストも含め、効率の良いシステムを設計したり、改善したり。現場のエンジニアが、ものづくりを追求できる環境を整えます。例えば工場内に新しい棟を建設する場合、そのシステムインフラ整備は我々の仕事です。業務柄「もともと半導体を知っている」という方は、第一生産技術部には少ないんです。
柴
第三生産技術部は、半導体製造のウェーハに集積回路を作りこむ前工程で適用しているプロセス技術を8つのチームに分けて担当し、そのプロセス技術の選択や製造装置の検討を行います。例えば、工場に導入する新しい装置の評価及び選定なども我々の担当です。また生産ラインのプロセス条件策定とその整備、そして出来上がった製品の不具合に対するプロセス改善検査も担当しています。形状的な視点から品質チェックを行うほか、歩留り改善にも取り組んでいます。半導体の製造は複雑で、検査項目は多岐にわたります。電気的なチェックは第一フラッシュ製品技術部が担当し、素材や形のチェックを一気通貫で検査し、最適なプロセス工程フローを構築するのが第二生産技術部、発生した欠陥に対しプロセスの原因を見つけ、改善するのが第三生産技術部と業務の役割を分けて効率を上げています。
- 異業界出身者も多く活躍していると聞きました。
山田
私の部署は「半導体出身者は少ない」という話をしましたが、一方で、コンピュータ系の出身者は多いです。ここ数年で四日市工場は、加速度的に規模が拡大し生産量が増え、NANDビジネスでは世界で首位を競っています。それに伴い、製造装置から出る生産データや製品不良を含む検査データなど、1日に約20億ものデータが工場から生み出されています。この大量のデータを高速かつ効率的に解析して、必要とするエンジニアへ使える形にし届けるIT人材のニーズは高いですね。「半導体業界でIT?」と驚かれるかもしれませんが、他社から来たITエンジニアは、「こんなに大量のデータを扱ったことはこれまでなく、面白い。やりがいがある」といっています。
柴
我々の部隊も、多種多様なバックグラウンドをもつ方が集まっています。大学で半導体を専門に学ぶ方は少ないと思っていて、仮に大学や大学院で専門的に学んだとしても、4年〜6年くらいの期間です。それを考えたら、現場で学ぶことのほうが圧倒的に多い。ですから知識ゼロから始めても、学ぶ気持ちとやる気があれば全く問題ないと考えています。前職での経験も問いません。私の部署にも、もともと医療機器のメーカーで活躍されていたキャリア採用の方がいます。前職では新規製造ラインの企画から導入、立ち上げまでを一貫して担当していたそうで、多くの人を動かした経験をキオクシアでも発揮しています。コミュニケーション力も高く配属後すぐに人との繋がりを作り、必要な知識をどんどん吸収しているようです。現在はリソグラフィというウェーハに回路パターンを転写する工程の技術改善を担当していますが、このリソグラフィは半導体製造の中でも重要な工程で、製造装置もとても高価で貴重なんです。もちろん本人の努力もありますが、キオクシアは半導体未経験から始めても、重要なポジションにつくチャンスが平等に得られる企業なんです。
山田
大切なのは技術者素養です。課題を明確にするスキルと解決までの仮説を立て証明する力、人を巻き込んでプロジェクトを推進する力、さらにはコミュニケーション能力といったベースとなる力があれば、充分やっていけると思います。半導体の知識がないからと躊躇するのではなく、積極的にチャレンジしてほしいですね。
- 転職者に期待すること。
柴
アイデアをどんどん、提案してほしいですね。そんなに難しい話ではなく、例えばウェーハをキレイにする洗浄薬液の開発は「洗剤で洗ったらキレイになる」という、ごく普通の考えから始まりました。この他、ウェーハの平坦化の改善技術は、入社して3年目のエンジニアが考えました。これも始まりは、凸凹をなくすという単純な発想から。どんなアイデアだって、誰も止めません。周りがサポートし、半導体製造に活かせるようみんなで形にしていくんです。だから遠慮せず言ってみる、やってみる勇気を持ってください。
山田
以前の業種では当たり前だったことも、半導体業界では取り入れられていない、ということもあるかもしれません。改善、ブラッシュアップをし続けるキオクシアは、常にアイデアを求めています。実は昔仕事で、自分のアイデアから何億も損失を出したことがありましたが、誰からも咎められることはありませんでした。ポジティブにとらえると、「そこには答えがない」ということを発見したともいえる。そしてすぐに次の手で取り返そうと、別のアプローチを考えて答えを掴みました。みなさんも、それくらいの強いメンタルをもって(笑)、挑戦してくれることを期待しています。
柴
私はよく面接で「失敗したこと」を質問します。なぜかというと失敗は、その人ならではのオリジナルの経験だからです。その失敗からどうリカバリーしたか。巻き返しできる人は粘り強さや、課題解決力、まとめる力があると思うんです。土壇場にも強い。これだけ大きな組織ですから、組織間を連携しまとめる力はとても重要です。国内だけでなく、海外とのやりとりもあります。ぜひ皆さんの力を、キオクシアで発揮してください。
- 最後に、半導体業界の魅力とは。
柴
NAND型フラッシュメモリを我々が発明したのは1987年ですが、半導体製品の歴史から考えると新しい製品なんです。ですからまだまだ試せることも多いし、可能性は無限です。そもそもNAND型フラッシュメモリの仕組み自体、当時は御法度な考え方だったんです。その後の3次元フラッシュメモリも突拍子もないアイデアから生まれました。メモリセルを縦に積むなんて「電気が通るわけない」と思われていたんです。精密な加工ができるのかという懸念もありました。しかし現在、200層、300層へと研究開発も進んでいます。半導体業界自体の特性もありますが、キオクシアは新しいアイデアを実行に移しやすい環境ですし、もしそれが成功すれば、その波及効果は全世界に及びます。エンジニアにとってこの規模感は大きな魅力だと思います。
山田
ありえないアイデアを常識に変えていく。自分が作ったものが次のルールになるなんて、面白いと思いませんか?キオクシアはそれを実現できる企業です。常に最先端を求め続ける現場は、エンジニアも一流です。半導体を学ぶ場として、これ以上の環境はなかなかないでしょう。聞き続けて、学び続けたら、5年後に見える景色はきっと変わっていると思います。